オフショア産業では多くの場合、緊急時に安全に避難するために自由落下式救命ボートに頼っています。ところが、この操作には多くのリスクが伴います。技術の進歩のおかげで今日では、デジタルツールを活用して自由落下とその乗員への影響をシミュレーションし、コストのかかる危険な試験をせずに最高の設計を開発できるようになりました。
ノルウェイのDNVGL- ST-E406は救命ボートの業界標準規格です。この規格は、救命ボートの安全性能の実証にデジタルデータを使用することを許可しています。このウェビナーは、オランダの TNO が開発したシミュレーション手法を紹介するとともに、この手法による救命ボートの安全性評価および改善にSimcenterのシミュレーション技術がどのように活用されているかを説明します。
石油プラットフォームに設置された自由落下式救命ボートは、ヘリコプターが使えないような緊急事態が起きたときに石油労働者を速やかに避難させるために使用します。ボートをさまざまな高さから前傾の角度で落下させることで、前へ進もうとする力を生み出し、乗員に与える影響を最小限に抑えます。とはいえ、天候や波の状態、また損傷したプラットフォームによって加速がかかり、乗員を負傷させる可能性があります。したがって、救命ボートの進水手順における乗員の安全性を確保するために、すべてのボートは乗員の傷害リスクを評価することが求められています。
TNOは、自動車分野の衝突安全性に関する専門知識を活用して、救命ボートの乗員の傷害リスクを評価する手法を開発しました。TNOの評価手法の中核をなすのが、衝突安全性能試験用ダミー (ATD: Anthropomorphic Test Device) を使った実地ハードウェア試験で実証・開発した数値モデルです。この数値モデルを使って、落下中に救命ボートの座席にかかる加速度荷重に基づいて、さまざまな落下シナリオにおける乗員の傷害リスクを評価します。
ウェビナーではTNOのEsra van Dam氏が、落下シミュレーションの全体的な手法について、実際の落下試験と実証結果との比較も含め、説明します。
このウェビナーでは、Simcenterツールチェーンを使って、安全性評価のためのボートの加速度荷重を計算する方法や、構造完全性評価のためのFEAシミュレーションの実施法について紹介します。さらに、救命ボートの進水シミュレーションに関する知見を深められるとともに、TNOが救命ボートメーカーやオフショア企業のために、どのようにSimcenterを活用して救命ボートの乗員安全性評価を進めたかが分かります。
このウェビナーの内容は次のとおりです。
救命ボートの進水手順には、多くの変数がかかわりますが、どのように救命ボートをテストすればよいでしょうか。救命ボートのテストは安全で信頼できるシミュレーション・ソフトウェア、つまり、さまざまな変数を含むデジタル・ソリューションを使って実施し、過酷な海況でも乗員の安全性を確保できるようにする必要があります。オンデマンド・ウェビナーに登録して、業界エキスパートによるデモンストレーションをご覧ください。
Business Development Manager
Research Scientist