アディティブ・マニュファクチャリング (AM) 部品を活用することで、ますます複雑化するデザインの生産を強化し、製造の分散化を実現します。ただし、アディティブ・マニュファクチャリング部品の耐疲労性を予測することは容易ではありません。製造プロセスによって複数の局所的な疲労要因が生じ、それぞれが複雑に絡み合うからです。数学モデルでは、これらの要因の相互作用やそれによる影響を予測できません。そのため、セーフティクリティカルな3Dプリント部品の疲労寿命の予測は困難なのが現状です。
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従来の疲労解析の手法では、アディティブ・マニュファクチャリング (AM) 部品の疲労を正確に予測することはできません。材料の状態と疲労誘発因子との無限の組み合わせを実際にテストすることは現実的ではなく、また、これらの影響因子を個別に切り離して、それぞれの相互作用や影響を個別に調べることも困難です。さらに、データベースの構築も意味がなく、一定ではない材料状態からS-N曲線を予測できるような数式も存在しません。AM部品の疲労予測の課題を解決するには、製造プロセスを材料や部品の特性と結び付ける必要があります。そのためには、各AM条件に対応する耐疲労性を示せるツールが必要です。
アディティブ・マニュファクチャリング・プロセスによって生じるすべての材料状態をテストすることはできません。仮にできたとしても、クーポン・スケールでは再現できないことがあります。そこで、AM部品の耐疲労性を正確にモデル化する解決策となるのが、機械学習 (ML) データベースです。MLモデルは、個々の要因が寿命にどのように影響するかを学習し、あらゆる疲労誘発因子による疲労寿命を予測します。テストの実施に限界がある場合、他の手法ではなかなか推測は困難ですが、MLモデルであれば利用可能なわずかなデータをもとに「最善の推測」をします。また、MLは前提知識や、独自のテスト、有限要素 (FE) 解析、文献に寄る知識や経験則などから、さまざまな入力データを組み合わせてデータセットを強化し、単一のMLモデルを構築します。
エンジニアは、耐久性解析を用いて疲労寿命を予測し、部品を安全に使えるように設計を適応させることができます。そのためには、AM部品の局所的な疲労特性に対処できるように、耐久性ソルバーを調整する必要があります。Simcenter 3Dソリューションは、AMプロセスに起因する局所的な特性を考慮しながら部品スケールの耐久性解析を実施する、独自の疲労解析ソルバーです。AMに対応した耐久性解析を統合することで、製造プロセスによって生じる局所的な疲労誘発因子やその後の状態を考慮しながら、正確に疲労を予測することができます。損傷が起きた場合の影響を評価し、必要な場所には高品質のプリントを保証することで、プリント部品の安全性を損なうことなく、全体的な生産性を向上すると同時に、3Dプリント部品の認証にも役立ちます。
オンデマンド・ウェビナーを見て、従来の手法では対応できなかったことに対応し、3Dプリント部品で破損が起きる位置や疲労寿命を正確に予測しましょう。
Simcenter耐久性シミュレーション・ソリューション担当
シーメンスで25年間、耐久性解析に関わる多くの役割を担ってきました。現在は耐久性シミュレーションのプロダクト・ライン・マネージャーとして、顧客ニーズに学術研究を組み合わせて取り組んでいます。これまで、ヒステリシス作用素やレインフロー法、熱疲労、複合疲労のほか、信頼性や最適化の分野において数々の研究プロジェクトを発表してきました。
CAE 3Dシニア・リサーチ・エンジニア
シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアで10年以上さまざまな研究開発に携わっています。現在は、CAE 3D R&Dチームのシニア・マネージャーとして新たな材料やアディティブ・マニュファクチャリング (AM) を使ったソリューションに取り組んでいます。CAE 3D R&Dチームは、顧客企業におけるAMプロセスのシミュレーション、生成プロセスによって生じる微細構造や欠陥、材料特性の予測、それによる部品の特性への影響 (強度や耐久性など) の解析を支援します。