人間と医療機器の相互作用を理解することは、次世代医療機器の設計の基本です。この相互作用を完全に理解するため、設計者は現在の実物によるテストに比べて、より詳細な情報が得られる数値モデルを利用したいと考えています。
人間と医療機器の相互作用の中でも最大の難関が、実際の心臓弁の閉鎖だといえるかもしれません。このウェビナーでは、Thornton Tomasettiとシーメンスのエキスパートが、心臓弁の非常に詳細なシミュレーションを数値流体力学 (CFD) を使って行う際のベストプラクティスについてお話しします。弁を通過する血液の流れと弁との相互作用を扱う流体構造連成 (FSI) に焦点を当てます。
毎年約25万個の人工心臓弁が手術で移植されている現在、製造企業は次世代弁の設計に高度な数値モデルを必要としています。目指しているのは、生涯使える弁を開発すること、そして抗凝固薬の必要性を減らすことです。
三葉弁は応力とひずみの法則を利用しています。血圧に従って三枚の弁葉が歪み、血液が一方向に流れ、逆流を防ぎます。弁葉の表面にかかる圧力によって歪みが生じ、同時に歪みによって流路が変化します。流路が変化するだけでなく、それに伴って流れ場も変化し、弁葉表面にかかる圧力も変化します。これは典型的な双方向の流体構造連成 (FSI) です。
CFD/FSIの連成解析は、設計したバルブの稼働時の動作を詳細な点まで理解し、設計変更の影響を非常に効率的に分析することを可能にします。