世界の重機市場では、排出ガスと騒音を低減する必要性から、ハイブリッド・パワートレインや電動パワートレイン、さらには水素パワートレインへの移行が進み、サプライチェーンのあらゆる部分に影響が出ています。重機業界に登場したこれらの新技術は、設計プロセスに大きな影響を及ぼしています。こうした機械を適切に設計することは難しい作業であり、設計者は新たな分野の専門技術を習得する必要があります。
このウェビナーでは、デジタルツインを作成してバッテリーやモーター、パワー・エレクトロニクスといったシステムの性能を個々に仮想的に評価する手法、またはこれらを完全な機械へと統合した状態で仮想的に評価する手法を、シーメンスのGaétan Bouzard (Simcenter重機担当リード) が紹介します。
重機や機器の電動化によって製造のすべての段階で複雑さが発生しますが、メーカーがこの新しいパワートレインに移行するのに役立つ革新的な技術が存在します。システム・シミュレーション・ソリューションには、正しい物理演算をサポートするモデル (専用の電動領域ライブラリの一部) へのアクセスという利点があります。このモデルは、ユーザーがさまざまな電気コンポーネントの主要なパラメータを入力することですぐに利用できます。システム・シミュレーションにより、エンジニアは、新しい電動機械の性能の最初期の評価を計算し、電気コンポーネントのサイズを決定し、サプライヤーの要件を定義できます。さらに、仮想環境を用いて、開発サイクルの早い段階でエンジニアリングに関する決定の妥当性確認を行い、対応策にかかるコストの増加を回避できます。
包括的なデジタルツインを導入する利点として、重機の開発サイクル全体で正確なモデルを開発プロセスで一貫して使用できることがあります。デジタルツインを使用すると、発案フェーズから製品化フェーズ、そして最終的な稼動フェーズまで、製品開発プロセスのすべてのフェーズをデジタルに把握できます。これらの異なるデジタルモデルは、包括的なデジタルツインの一部として表現すべきであり、担当部署ごとに別々のものを活用すべきではありません。これらのデジタル表現を製品開発プロセスのすべてのステップで一貫して活用することで、要件定義から製造、製品の稼動中に至るまで、製品と製品製造を継続的に改善することができます。
シーメンスの経験から言うと、モデルベースのアプローチを使用することで高度な管理戦略の開発を支援し、電気コンポーネント管理システムを迅速かつ安全に検証できます。数十年にわたる管理開発の専門知識によって磨かれたシーメンス・エンジニアリング・サービスでは、このようなモデルベースのアプローチを導入することで管理エンジニアリング・チームをサポートします。具体的には、高度な技術を用いた要件定義から管理機能開発まで、さらには管理妥当性確認プロセスの最適化に至るまで支援できます。
また、適切な設計によって、騒音や排出ガスに関する厳格な基準に準拠しながら、建設業、農業、鉱業分野のエンドユーザーが想定する (またはそれ以上の) 性能を満たすことができます。